
会社の現金が足りない時、今すぐできることはないか
「今すぐ現金が必要」「来週の支払いが重なって資金が足りない」――そんなピンチは、どの会社・個人事業でも起こり得ます。大切なのは、焦って高コストの手段に飛びつく前に、優先順位の高い“即効策”から順に打つことです。表・チェックリストを使い、初心者でも迷わず進められる「行動計画」も用意したので活用頂けます。
最優先の原則:支払いの“山”を崩す
資金ショートは「入金<出金」のタイミングのズレが原因です。まずは、支払いの平準化と入金の前倒しで“今の山”を崩し、猶予を確保します。
今すぐ(当日〜48時間)やること:緊急5点
- 支払先への分割・期日変更交渉(家賃・仕入・外注・広告):誠実に事情を説明し、今月は50%払い+翌月残額などの案を提示。
- 前受・着手金の請求:進行中案件に対し、契約条項に基づく中間請求書を即日発行。
- 回収遅延の督促:上位債権の担当者へ電話→再請求書発行→入金期日のメール確約。
- 不要サブスクの即時停止:使っていないSaaS・広告・ツールを停止し、翌月の固定費を軽量化。
- 短期枠の即応:既存の当座貸越・法人カード枠の空きを確認し、必要最小限だけ利用。
48〜72時間で効く資金繰りテコ入れ
- 早期入金割引の提案でキャッシュイン前倒し。
- クレジット・オンライン決済を提示し、銀行振込以外の回収ルートを追加。
- 在庫の現金化:滞留在庫を値引販売・まとめ売り・委託販売に切替。
- 税・社保の分納相談:正規の手続きで資金ピークを和らげる。
“何から払うか”の優先順位フレーム
限られた現金をどこに配分するかで、翌月以降のダメージが変わります。以下の優先順位で判断しましょう。
| 優先度 | 支出カテゴリ | 理由 | 交渉余地 |
|---|---|---|---|
| 最優先 | 給与・社会保険・税 | 人材流出・延滞ペナルティ回避 | 社保・税は分納制度あり |
| 高 | 主要仕入・ライフライン(家賃・インフラ) | 事業停止リスク回避 | 分割・期日延長の余地あり |
| 中 | 外注・広告・サブスク | 売上影響は中期に波及 | 停止・縮小・条件変更可 |
| 低 | 投資的支出(設備・開発の先行費) | 先送りしても即停止はしにくいが代替案可 | 一旦凍結・スコープ縮小 |
即効チェックリストの例
| 項目 | 完了 | メモ |
|---|---|---|
| 前受・中間請求を発行した | □ | 請求日/入金期日を明記 |
| 上位3社の延滞に電話した | □ | 担当者名・確約日を記録 |
| 仕入先3社に分割・期日変更を相談 | □ | 今月50%+翌月50%など |
| 不要サブスクを停止・解約 | □ | 次回請求日を確認 |
| 税・社保の分納手続きを確認 | □ | 期日・分割回数 |
入金を前倒しする具体ワザ
中間・分割請求のフォーマットを整える
プロジェクト型の仕事は、着手金30%/中間30%/納品40%などの分割を標準化。契約時に請求予定を明文化しておくと、緊急時も無理のない交渉が可能になります。
早期入金割引の導入
「10日以内入金で2%割引(2/10 Net30)」などを条件として提示。リピート客には特に効果的です。
決済手段の多様化
クレジット・口座振替・オンライン決済を用意し、“今すぐ払える手段”を増やします。会計・請求ツールの決済リンクも活用しましょう。
出金を平準化するテクニック
支払サイトの延長交渉
長年の取引先ほど相談に乗ってくれます。「今月のみ45日」「翌月末に一括」などの代替案を具体的に出しましょう。
固定費の分散
家賃・回線・ツール等の支払日を月内で分散し、資金ピークを解消します。クレジット支払いへ移行すると締日調整がしやすくなります。
投資の一時停止・スコープ縮小
広告・開発・設備の「今やらなくても致命的でない支出」は凍結か規模縮小。回収が見込める案件に資金を集中投下します。
72時間で作る“資金可視化”ミニ運用
13週資金繰りミニ表(3週版)
まずは3週間だけでも可視化すれば、今の“谷”と“山”が見えます。
| 週 | 期首残高 | 入金合計 | 出金合計 | 期末残高 | 注意イベント |
|---|---|---|---|---|---|
| 今週 | 1,800,000 | 600,000 | 1,050,000 | 1,350,000 | 家賃・外注支払 |
| 来週 | 1,350,000 | 1,200,000 | 1,100,000 | 1,450,000 | 回線費・広告費 |
| 再来週 | 1,450,000 | 900,000 | 1,300,000 | 1,050,000 | 税・社保 |
ダッシュボードKPI(毎週更新)
- 期末現金残高(予測 vs 実績)
- 上位10社の回収予定表
- 大口支払カレンダー(給与・家賃・税/社保・外注・広告)
- 信用枠の使用率(利用残高/限度額)
“短期資金”の正しい使い分け
| 手段 | スピード | コスト | 向く用途 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 当座貸越(銀行枠) | 中 | 低〜中 | 一時的な谷の埋め | 平時に枠設定が必要 |
| 法人カード(リボ回避) | 速 | 中 | 小口・緊急出費 | 長期利用は割高、翌月一括を基本 |
| ファクタリング | 速 | 中〜高 | 確定売掛の即時化 | 手数料と取引先同意の要否を確認 |
| 制度融資・公庫 | 遅 | 低 | 構造改善・運転資金 | 準備書類が多いが安い |
注意:短期資金で長期投資はしない
短期枠で設備投資を賄うと返済が重く、次の資金ショックに耐えられません。短期は短期の谷埋め専用、投資は長期資金が原則です。
ケース別:今日使える即効アクション
ケースA:売上はあるのに今週足りない
- 上位3社に前受・中間請求を発行(電話で合意→メールで確約)
- 家賃・主要仕入先に分割(今月50%)を打診
- 外注費・広告費を翌月スタートにスライド
ケースB:税・社保・賞与が重なる月
- 税・社保は分納制度を活用(正規手続きで信用維持)
- 賞与は総額同一で、支払日を部門ごとに分散
- 外注・広告を一時停止し、1〜2週間で再評価
ケースC:回収遅延が慢性化
- 新規案件は着手金+マイルストーン請求を標準化
- 与信限度の設定、延滞停止条項の明記
- 督促は「自動メール→担当直通→内容証明」の3段階運用
“やってはいけない”3つの誤り
- リボ払い・キャッシングの常用化:短期は一括返済が基本。利息負担が雪だるま式に。
- 売掛回収より新規受注を優先:回収は最優先KPI。未回収の拡大は即ショートに直結。
- 支払先への無断遅延:まずは連絡・相談。誠実な交渉が次の協力を生みます。
行動プラン:72時間タイムライン
| 時間軸 | アクション | 成果物 |
|---|---|---|
| 0〜12時間 | 入出金の洗い出し/上位債権・大口支払の把握 | 3週資金繰りミニ表 |
| 12〜24時間 | 前受・中間請求の発行/督促電話 | 請求書・確約メール |
| 24〜48時間 | 支払先と分割・期日変更交渉/不要サブスク停止 | 新支払スケジュール |
| 48〜72時間 | 早期入金割引の提案/決済手段の追加 | 入金前倒し合意 |
まとめ:即効策→平準化→仕組み化の順で
- 即効策:前受・督促・分割交渉・停止で今の山を崩す。
- 平準化:支払日の分散、サイト延長、ダッシュボードで“谷”を見える化。
- 仕組み化:分割請求を標準化、与信・停止条項、短期枠を平時に整備。
「お金が足りない」は必ずしも業績の悪さではなく、タイミングの問題です。今日の即効策で時間を買い、来月以降に効く平準化と仕組み化へ進みましょう。焦らず、しかし素早く。これが資金ショックを乗り越える最短ルートです。










