黒字なのに現金が足りないのはなぜ?

黒字でも資金繰りに苦労する理由

 

「決算は黒字なのに、銀行残高はいつもギリギリ…」「利益が出ているのに資金繰りが苦しい」――多くの経営者が感じるこの疑問。その答えは、「利益」と「現金」は別物という会計の基本原則にあります。この記事では、黒字なのにお金が足りなくなる理由と、資金を安定させるための実践的な対策を、初心者にも分かりやすく解説します。

 

黒字と資金不足はなぜ同時に起こるのか

黒字=利益が出ている、というのは「帳簿上の話」です。損益計算書の利益は、売上や費用の発生を基準に算出されます。一方、実際の現金の動きは入金・出金のタイミングに左右されます。つまり、利益はあっても現金が増えていないという状況は、よくあることなのです。

 

黒字倒産とは

黒字倒産とは、決算上は黒字でも手元資金がなくなり、支払いができなくなることを指します。主な原因は「売掛金の未回収」「在庫の増加」「返済や投資による出金」などです。

 

黒字なのにお金が足りない主な原因

① 売掛金が多く、入金まで時間がかかる

商品やサービスを提供しても、入金は翌月や翌々月というケースが一般的です。この「売上と入金のタイムラグ」が、資金不足を招きます。

  • 月末締め翌月末払い → 実際の入金は最大60日後
  • 複数の取引先の支払日が重なると、資金繰りが一気に悪化

 

② 在庫に現金が寝ている

在庫は、仕入や製造にお金を使った「形のある資産」です。売れ残ると現金が戻らず、資金を圧迫します。特に小売・製造業では、売上の増加=在庫増加に直結するため注意が必要です。

 

③ 設備投資や借入返済による出金

設備投資や返済金は「費用」ではなく「資金の支出」です。損益計算書には全額反映されないため、黒字でも現金は減ります。

項目 会計上の処理 現金への影響
売掛金 売上として計上 入金まで現金増えず
減価償却 費用計上 現金流出なし
設備投資 資産計上 現金が減少
借入返済 費用にならない 現金が減少

 

④ 税金・社会保険料の支払いが重い

黒字になると法人税や所得税、消費税などの納付負担が増えます。さらに社会保険料の支払いも毎月発生し、キャッシュフローを圧迫します。

⑤ 成長による「売上拡大貧乏」

売上が増えると仕入・外注・人件費などの支出も先行します。入金が後になればなるほど、成長期ほど資金が苦しくなるという逆説的な現象が起こります。

 

損益と資金の違いを理解しよう

損益計算書では利益を示しますが、実際に「現金がいくら増減したか」はキャッシュフロー計算書で確認します。

区分 主な内容 資金への影響
営業活動によるCF 本業の入出金(売掛回収・仕入支払など) 事業継続の基本
投資活動によるCF 設備・不動産などの取得 将来のための支出
財務活動によるCF 借入・返済・配当など 資金調達と返済

 

黒字でも資金が減る時の具体例

例① 売上増加による運転資金の増加

売上が上がるほど仕入や外注費の支払いも増えます。入金サイトが長いと、現金が一時的に足りなくなる現象が発生します。

例② 借入金の元本返済

返済額のうち元金部分は損益に計上されないため、利益が出ていても現金が減少します。

例③ 税金・賞与の支払月

6月や12月など、賞与や税金の支払いが重なる月は、資金残高が急減します。

 

資金ショートを防ぐための実践対策

① 13週資金繰り表で先を見通す

毎週の入出金を3か月先まで予測する「13週資金繰り表」を作りましょう。未来の資金不足を早期に発見できます。

② 入金を早める・出金を遅らせる

  • 前受金・着手金制度を導入する
  • 支払サイト延長の交渉
  • カード決済・オンライン入金など迅速な回収手段を活用

③ 運転資金を確保する

日本政策金融公庫や銀行の当座貸越枠を活用し、短期資金を確保します。「必要なときに借りる」ではなく、「余裕のある時に枠を作る」のが鉄則です。

④ 税金・賞与のための積立を行う

特定月の支出を平準化するため、毎月積立を行いましょう。賞与・消費税・法人税などはあらかじめ口座を分けて管理するのが効果的です。

 

黒字倒産を防ぐための意識改革

経営者が持つべき視点は、「利益よりもキャッシュフロー」です。数字上の利益ではなく、「今月・来月・再来月の現金残高」を常に意識しましょう。

  • 損益より資金繰りを優先して考える
  • 在庫や売掛金を現金化する仕組みを持つ
  • キャッシュフロー計算書を定期的に確認

 

まとめ:利益よりも「現金」を見る習慣を

黒字でもお金が足りなくなる理由は、現金の流れを把握していないことにあります。損益計算書だけでなく、資金繰り表・キャッシュフロー表を活用して、「お金の動き」を見える化しましょう。

 

  • 売掛金・在庫・返済・税金が資金を圧迫する主な要因
  • 13週資金繰り表で先を読み、余裕資金を確保
  • 利益よりも「現金残高」を重視する経営を

 

数字上の黒字に安心せず、常に「キャッシュの残り」を意識すること。それが、安定した経営と成長の第一歩です。

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